喜多屋醸造店

こだわりの信州味噌を通販でお届け。代々受け継がれる伝統の製法で、自慢の無添加味噌をお届け致します。

【味噌について】製造方法

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こだわりの原材料

味噌造りの重要度を表す格言に「【1】麹【2】炊き【3】仕込み」というものがあります。
【1】麹造り【2】は大豆の煮炊き、そして【3】はどのような配合や温度で仕込み熟成させるかという事で、3つの中で一番重要なのが麹造りです。
麹が良くないと後でどんなに上手く作っても良い味噌にはなりません。
そして麹を作るのに、まずは米選びが重要です。

  • 米選び

    旨い米と言えば一般的には魚沼コシヒカリやミルキークイーン等の各種ブランド米が浮かぶと思います。
    しかし産地や銘柄以上に最も重要なのが米粒の実り具合です。たとえば有名な魚沼産コシヒカリでも「しらた」と言われる高温障害で出来る白くなったものでは良い麹になりません。
    「しらた」はお米が実る際の初期から中期にかけて、高温条件や低日射量などに遭遇すると発生します。米粒に空気が多く入っていて、そのため光が乱反射して白く見えるのです。空気が入ると隙間が多くなり、米質も脆く麹を作る時に水分を吸いすぎる為べとべとな蒸し米となりやすく、麹菌が繁殖するのに向かないのです。

このような「しらた」や微細米といわれる米を選別した後にふるい分けられる砕けた米は価格が下がる為、国産米使用と謳っていてもお安い価格で流通している味噌の多くはこのような米を使用するケースが多く、せっかく国産だからと旨い味噌を期待しても、このような米を使用しては美味しい味噌には仕上がりにくいのです。

  • しらた米
  • 長野県産コシヒカリ完熟米

味噌造りでは米は麹となり、酵素の作用で溶けて分解されます。このためご飯用として重要視される「粘りけ」「もっちり感」などは味噌の味わいにあまり影響しません。有名銘柄米である事より、米の鮮度、保存方法、障害米の少ない事、蒸し上げた時の水分が適正に出来るか、農薬が残留していないかの方がとても重要なのです。※喜多屋醸造店では、長野県産コシヒカリ完熟米を使用しております。

  • 大豆選び

    大豆は産地、残留農薬、栽培方法はもちろん、生産年度、保存方法、大豆の乾燥度、色、皮の厚さ、不良粒の混入割合、蛋白含量など多岐に渡ります。
    豆腐と違いやや蛋白は少な目の品種の方が組成では滑らかな味噌にしやすい傾向があります。喜多屋では地産地消、そして気候風土に根ざす意味でも地域の素材を厳選し、長野県産ナカセンナリという品種を使用しています。

  • 塩選び

    食塩も重要なポイントです。
    ただ直接塩味で調理する場合の自然塩や藻塩の美味しさと違い、味噌の場合には他の素材からの旨み成分がはるかに多く、高級な塩を使ったからといって必ずしも美味しくなる訳ではありません。
    塩からの微量なミネラル分は酵母菌などの生育時に必要で、ミネラルのバランスが丁度良い塩の方が発酵は旺盛になり香も高くなります。
    また塩の安全性が最も重要です。
    そういった観点からの塩選びが大切です。
    喜多屋では色々試した結果世界遺産登録されているオーストラリア シャークベイの綺麗な海水を用い広大な塩田でミネラル豊富に仕上げた天日塩を和歌山県の精製工場で不純物を取り除いた塩を使用しています。

喜多屋醸造の味噌製造方法

  • 味噌仕込みの作業は麹造りから始まります

    味噌仕込みの作業は麹造りから始まります

    味噌屋の朝は早い。
    米は洗米する前に水分を計ります。そして気温も重要です。米の水分と米の質、そして気温で水分の吸収量が変わり、蒸し上がった時の水分が異なるからです。洗米は長すぎず短すぎず最適な加減が重要です。
    このあたりは経験がものを言います。
    味噌用の麹は酒用の麹と違い、蛋白質分解酵素を主目的に造ります。
    そしてぬかに含まれる栄養素が麹菌の繁殖に必要なため汚れは落ち、かつ「ぬか成分」が残るように仕上げるのがコツです。

  • 早朝からボイラーを準備する

    早朝からボイラーを準備する

    喜多屋のボイラーは昭和初期から使われているレンガ積みの横置多管式ボイラーという大変古いものを使用しています。鉄道のSLの釜のような仕組みで蒸気を作るのです。
    まるでジブリの「千と千尋の神隠し」に出てくる釜爺の仕事場のようです。近代的なボイラーと違い効率が悪いのが欠点ですが多くのボイラーのように「清缶剤」と呼ばれる薬剤を水に添加する必要が無く、保有する水の量も圧倒的に大きい為、米や大豆を蒸すのに最適な多く水分を含んだクリーンな蒸気を発生させる事が出来ます。しかし蒸気が発生するまで時間がかかり、朝5時から点火して準備します。

  • 米を蒸す

    米を蒸す

    麹造りおいて工程が最初であればあるほどその後の仕上がりに大きな違いが出ます。表面はやや硬く、中は餅のように柔らかい「外硬内柔」という状態を目指します。
    昔ながらの大きな蒸篭(せいろ)を用い、蒸気が出ている上に均一に薄く層を作り、米に熱が通ると透明に色が変わり蒸気が沸き上がると同じように重ねて少量づつ丁寧に蒸し上げるのです。これを「抜け掛け」法と言います。米は蒸し上がると膨張します。多量の米を一度に蒸してしまうと米の重さで圧迫され、ふわりと蒸し上がらず米の団子になってしまいます。

  • ちょうど良い温度まで冷ます

    ちょうど良い温度まで冷ます

    蒸し上がった米は麹菌が生育するのにちょうど良い温度に冷ます事が重要です。
    この時冷ましすぎては発育が遅くなり、熱すぎては菌が死んでしまったり、高温が好きな納豆菌などの繁殖原因になります。
    麹菌が繁殖するように寝かせる場所を「床」と呼びます。
    この床に蒸し米を冷ましながら運び込む作業を「引き込み」と言います。引き込み作業の最初と最後で温度に差が出ないように最初はやや高めに、ゆっくりと低めに調節するのです。

  • 麹菌「もやし」をつける

    麹菌「もやし」をつける

    専門の麹やさんから麹の胞子である「もやし」を購入し使用します。麹菌は業界では「もやし」と言います。
    もやしは、清酒用、醤油用、甘酒用、赤みそ用、白みそ用など生育の速さ、菌糸の長さ、胞子の色、造り出す酵素のバランスなどが皆異なります。目的とする製品のタイプによりこれらを選択、組み合わせて麹に育成します。
    「もやし」をつけるタイミング、そして均一にまんべんなく蒸し米に付ける技術がとても重要です。もちろんこの時、雑菌の侵入はご法度ですから細心の注意をはらい作業します。
    もやしを付けた蒸し米は最適な温度と湿度を保たせ、子供を寝かせる様に「床」で休ませます。
    翌朝5時頃には麹菌がしっかり目を覚まし、せっせと発育を初めます。

  • 盛り込み

    盛り込み

    麹は生きていますから旺盛な生命活動の為熱を出します。
    冷めないよう厚く盛り込んだ床に寝かせたままでは自分の出す熱で死んでしまいます。そこで「もろ蓋」と呼ばれる杉板で作った深さ4cmほどの広くて浅い箱に薄く麹を広げて行きます。
    これを「盛り込み」と言います。
    麹菌の発育に合わせ、この「もろ蓋」を重ねる隙間を調節し組換えて麹菌が元気に生育できる最適な温度と湿度を保つのです。
    この作業は麹の状態を確認しながら場合によっては深夜に及びます。大量生産の麹造りでは厚さ数10cmの麹の層に強制的に温度を調節した風を送り冷ますのですが、どうしても吹き出し口は冷たく出口は熱くなり、最適な温度を保つのは難しく、また風により湿度も徐々に奪われ硬い麹になりがちで理想の麹にするのは難しいのです。
    こうして米を用意してから3日かけて米麹が出来上がります。

  • 大豆を用意する

    大豆を用意する

    大豆は大きな「ふるい」にかけてしっかりと選別します。このとき淡色系とよばれる白みそにする場合は脱皮も行い皮を取り除きます。
    皮の成分に着色原因が多い為です。
    そして洗浄工程に移されます。最初は少量の水で豆どうしを擦るようにしてから更に大量の水でもみ洗いをします。
    そして大きな煮釜に入れて一晩十分に水を吸わせます。
    翌朝から煮込み作業です。白系の味噌は煮込み、赤系の味噌は蒸しを行います。
    白系の味噌は皮を取り煮る事で着色成分が減って綺麗に端麗に仕上がります。赤系は全ての成分を逃さぬよう仕上げる為重厚な味わいになります。この工程も味噌の風味を大きく左右するのです。

  • 豆を煮る

    豆を煮る

    煮込む場合は釜の中で豆が流動して煮えむらが無いように注意します。そして硬すぎず柔らか過ぎずの煮込み時間を経験で決めます。
    この作業でざらつきの無い滑らかな味噌が出来るかの分かれ目なのです。

  • 煮豆を冷ます

    煮豆を冷ます

    煮上がった大豆を仕込み温度に合わせて冷まします。
    柔らかい煮大豆が潰れてしまうと風が通らずなかなか冷めないので粒が潰れないよう細心の注意が必要です。

  • 味噌を仕込む

    味噌を仕込む

    用意した麹と塩と煮大豆を混ぜます。
    この時の配合割合が味噌の味わいを決めます。また混ぜ終わった時の温度がとても重要です。
    熱くても冷たすぎても麹の酵素や酵母菌などの作用が変わってしまいます。最適な温度に調節する事で味噌の熟成中に働く酵母や乳酸菌が活発に働き、良い香りを生み出すのです。

  • 桶に入れる

    桶に入れる

    喜多屋では1トンサイズの丸いステンレスの桶に仕込みます。
    以前は木樽を使用していましたが、醤油と違い味噌の場合は桶の中で味噌が移動しない為、木樽を使う事でのメリットはあまり無く、それより木樽の目地にダニやカビが生息しやすかったり、木くずが味噌に混ざる事のリスクの方が問題となる為専用のステンレス桶を特注しました。
    甕や木桶、ホーローなど試す中、味噌は容器の質より容器の大きさ、深さにより味が違う事がわかりました。
    大きすぎては重さで発酵が阻害され、小さすぎても酸化が進みやすいのです。
    木樽は昔ながらを演出する為には重要ですが、お客様の立場から考えても木樽を使用する事は食の安全の観点から出来ませんでした。

  • 味噌を熟成させる

    味噌を熟成させる

    仕込んだ味噌は仕込み蔵で熟成させます。季節や味噌の種類により期間は異なり短いもので4か月、長いものでは3年の歳月をかけます。
    仕込み中の味噌は一見何も変化していないように見えますが、蔵に入り静かにするとあちこちで「プツプツ」と盛んに発酵して泡を噴き上げ熟成している音がまるで合唱しているように聞こえます。
    ああ、美味しくなっているな、と嬉しくなります。
    この間に麹の酵素で分解され甘味や旨みが作られ、また酵母や乳酸菌がふくいくとした香りや特徴味を生み出します。
    赤みそ系では「天地返し」といって味噌を切り返し上下を逆さにする事で一時的に酸素を与え味噌を均一にして微生物の生育を促進させる作業を行います。
    この事で一層香り高い味噌に仕上がるのです。

  • 味噌を出荷する

    味噌を出荷する

    こうして出来た味噌は味噌のタイプによりそのままのものや、すり潰し作業を経て漉し味噌にします。
    しっかり検査して合格のものだけを手作業により一つ一つ丁寧に容器に詰めて出荷します。長年手塩にかけて育てた娘を嫁に出す気分です。

    味噌は米と大豆、塩というシンプルな素材で作りますが、麹や酵母など発酵という作用で素材の味の差以上に味噌造りの工程の違いが味や風味の差につながります。
    蔵に住み着く菌の作用で喜多屋の蔵ではないと生まれない味に育つのです。そこに匠の技、そして冷涼な気候、美味しい水があってこそ「本物」が生まれるのです。